奉仕、あるいは冒涜

2009.05.04 TEXT

表ハキダメssの「中途半端がいちばんよくない」「収穫の法則」の続きです。






襖を開くと、開かれた窓から冴え冴えとした月の光が部屋の奥まで差し込んでいて、不自然な姿勢で眠る飛段を照らしていた。俺の戻りを寝ずに待っていようとしたのかもしれない、こいつはときどきそういう殊勝な真似をして俺をうろたえさせる。片膝を曲げ、壁にもたれたまま眠りこんでいる相棒は、白い月光の下で無垢に見えた。だらしなくまとった浴衣の前を開いてぼんやりと欲を宿したままの性器をむき出しにしてみても印象は変わらず、うなだれた頭を片手で起こした俺は、躊躇の末にやっと口づけることができた。上口蓋を舐めると飛段は目を覚ましたが、ゆるく差し出された舌を俺が弄んでいるうちに再び瞼を下ろしてしまった。宿に早く到着するために数日間道を急いだ、その強行軍の疲労が今になって表れてきたのかもしれない。俺は唇を離し、今度はあまりためらわずに飛段の下腹部に顔を埋めた。これをすると、いつも決まって飛段はひどく驚く。だから俺も妙な作為を持つようになってしまったが、今日の飛段は何も言わず股も柔らかく開いたままなので俺も素直に努力する。数刻前に使った潤滑油の香りに呼ばれて尻の下に手を進めると、さすがの飛段も反応し、ずるりと床に崩れてきて腰を浮かせた。都合のいい体勢をとるべくごそごそする俺の腿をつかんでいかにも眠そうな声を出す。ずるいぜかくず、おれもやりてぇ。一瞬、相棒の仔犬のような舌の動きを思い出して俺は痛いほどに張りつめたが、それよりも別の欲望の方が強かった。いったん身を起こし、相棒の上体を抱え起こして元通り壁に寄りかからせ、焦点の合わない目を見つめて諭す。だめだ飛段、今日やるのは俺だけだ、最初に足りないと言ってきたのはお前で俺じゃないからな。ええぇ、と情けない声をあげる相棒の唇をふさぎ、挿入した指をゆっくりと動かすと、無邪気に屹立した性器がゆらゆら揺れた。やがて、こちらを押し返そうとしていた腕がだらりと下がり、ふさいでいた唇から忘我の息が漏れるようになる。待ち望んだこの時、俺はぐらぐらする相棒の頭を胸に抱き、明け渡された聴覚に長くささやく。飛段、飛段、お前にとってジャシンが何ほどのものか、ジャシンはお前の首がもげてもつないではくれないぞ、俺を選べ、お前が望むなら永久に生きてやるしその命も簡単に投げ出す俺を選べ。そうして俺はより柔らかく動き、俺の聖者をできるだけ長く腕の中に独占しようと試みるのである。












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