転向・ション4

2009.10.18 TEXT

「割と鬼畜なタチ役で生きてきた飛段が、それを大きく凌駕する最強の鬼畜角都に出会って、猛烈に方向転換する(目覚める)」というコアな(笑)リクエストをくださったこあん様へ。





相棒にはあえて言わないが、飛段はあまり遊蕩をしたことがなかった。宗教は存在意義とあわせて快楽も飛段に与えてくれたし、熱心な宗教家である飛段にはそれで充分だったからである。散々いたぶって恐怖感を募らせた相手に致命的な苦痛を与え、悶絶するさまを楽しみながら自身もその苦痛を味わう、というずいぶん複雑な仕組みは飛段の嗜虐性と共に被虐性も発達させたが、その主導権が自身にある限り自分は攻める側である、と飛段は考えていた。なので相棒との関係でいつの間にか自分が受け手に回ったとき、飛段はそれをフレキシブルなものと思ったのである。当然のように抱かれる夜が続いたある日、焚き火の反対側に横たわる相棒に近づいた飛段は相手の肩を押さえてのしかかり、なぁ今日はやらせろよ、と言ったのだった。飛段の中には、自分より体格の良い相手を抱くのだからこの体勢で、という具体的なイメージまでできあがっていたのだが、その計画は眠りから起こされた角都が不機嫌そうに唸って飛段のナニをまさぐり引きちぎったことでフイになってしまった。それまで他人のものだった「悶絶」が己のものとなったその夜のことを飛段は忘れないだろう。脈打つ激痛に割り込んでくる快感、飛段の体を座位でいいように弄びながら妙にねちっこい口ぶりで実況をする角都(竿がなくてもイけるものだなおいまたイったぞ)、どうしても我慢できなかった小便をめちゃめちゃな方向に飛び散らせた罰として焚き火用の細い枯枝を出血激しい尿道口の断面に詰め込まれ、そのとんでもない疼きに再度の放出をやらかしたこと。それからというものの飛段は役割交換を決して口にしない。人には持って生まれた才能というものがあるからな、と飛段は思う。相棒ほどの鬼畜者はそうはいないだろうし、だとすればそれは尊重すべき存在だろう。それを受け得る、多分唯一の存在である自分もまた同様に。ナニの根元にかすかに残る縫い目は飛段にとっての勲章でもあるのだ。














Secret

TrackBackURL
→http://ecrits2.blog.2nt.com/tb.php/14-f4bdd6d6