多分連泊します・ション5

2009.12.27 TEXT



雨が混じった雪の中、俺たちは宿を探したが空きを見つけることができず、仕方なく安い連れ込み宿に入った。普段なら何の問題もない行為だが、長い道中ずっと諍い続けてきた俺と飛段にとってはなんとも気まずいことだった。布団が一組しかないからである。ぐしょ濡れの装束を脱がないわけにもいかず、意地を張って布団に入らずにいるのも季節的に辛い。俺はむっつりとしたまま、飛段は文句をぶつぶつ並べながら全裸になり、一枚の掛け布団の中で背中合わせに横たわった。腹立ちまぎれに俺は相棒を無理やりやってしまおうかと考えた。こんなところに泊まっているのだ、やらないほうがおかしいだろう。馬乗りになって片脚を肩に担ぎ、首と肩を押さえれぱ相手の意思とは関係なく挿入できる。そんなことを考えてみたがまったく興奮しなかったので、俺はその案を却下した。いたぶる気にもなれないのだから俺はもうこいつに飽きているのかもしれない。しらじらとした気持ちでそのまま眠りについた俺は、背中が急に寒くなったことで覚醒した。安普請の壁越しに便所からジョロジョロという音が聞こえる。あたりの仄かな明るさからいって朝方らしい。金の価値も理解できない青二才が人並みに小便など垂れるとは、と俺は我ながら理不尽に憤り、布団のまん中に大の字に寝てやった。奴の場所はない。ざまをみろ、いなくなった方が悪いのだ。意地悪く満足しながら寝たふりをしているとガタリと戸を鳴らして相棒が戻ってきたが、予想していた怒号や蹴りは訪れなかった。どうも相棒は枕元にしゃがんだらしく、肌の匂いが漂ってくる。おーおージジイがガキみたく寝やがってよォ。相棒の指が俺の髪にゆっくりと触れる。年末だってのにカネカネってこんな雪ん中ほっつき歩いてまったく呆れるぜェ、けど来年もおんなじなんだろうよ、オレにゃテメーしかいねーし、テメーにゃ金しかねーもんなァ。俺は考える。嘘をつけ貴様にはジャシンがいるだろう、貴様がジャシンを捨てるんなら俺も金について考えてやってもいい、それに小便の後には手を洗えといつも言っているがまさか洗ってきたろうな。だがそれを指摘してこの雰囲気を壊すのは惜しい。その気持ちはこいつが布団をまくりあげ俺の隣へ入り込んできたときにも持続する。喧嘩中だというのに相棒は無遠慮に体を寄せてこちらの肩口に頭を乗せ、俺がしぶとく寝たふりを続けているうちに、くあ、と欠伸をして勝手に眠りこんでしまった。俺は眠れない。横に倒れている俺のナニに、たまたま相棒の先端が触れるともなく触れているからである。小便のしずくが残っているらしい冷たい感触がさっきは遠かった官能を呼ぶ。俺はしばらく我慢をするが、とうとう諦めて能動的に動き始める。半分寝惚けた相棒がもう朝だぜと言うが構うことはない。ここは連れ込み宿だし外は変わらずの雪模様。互いの射精中枢に異常がないか確かめることが金を求めてうろつくことよりマシかどうか試すにはうってつけの日だ。














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